特別な無報酬はコワイ

  • 2013.03.17 Sunday
  • 19:25
 
社会心理学の用語に認知的不協和ってわけのわからん言葉があるのです。
大雑把にいえば自分の価値観に合わない現実が目の前に起こっちゃったら、自分の行動と考え方が変わっちゃうってことなのですわ。

イソップの童話に「すっぱいブドウ」ってのがありますわね。
キツネがめっちゃおいしそうなブドウがいっぱいぶら下がってるでっかい木を見つけました。
キツネはこれはたまらんということで、飛び上がってブドウを採ろうとしました。
んでも、ブドウが高いところになってるもので、キツネがいくら頑張っても届きませんがな。
キツネはあきらめました。んでも、そこで捨て台詞を言うんですね。
「どうせこんなブドウはすっぱくてマズイにきまってるのだ。採れなくて正解なのだ。」

これが認知的不協和。
これを言ったのはアメリカのレオン・フェスティンガーって方です。

フェスティンガーの実験ってのがあります。
二つのグループの学生たちにメッチャ単純な作業をさせるのです。
やってることは同じでも一つのグループはちゃんとした報酬を与えるのです。
もう一つのグループはホトンド報酬なしで仕事の楽しさを伝えるだけなのです。
終わった時に仕事について質問するんですね。
「たのしかったか?」
ちゃんとした報酬をもらった方は
「つまらなかった」
報酬のなかった方は
「おもしろかった」
結果と常識は反対なんですね。

んでもこの結果は常識から生まれてくるのです。
つまらない仕事だから報酬があって当然。
これって常識ですね。
非常識なのはもう一つの方。
こんなにつまらないのに無報酬なんて価値観に合わない話ですよね。認知的不協和が起こるのです。自分の頭の中で正当性を作り上げて帳尻をあわせちゃうんですわ。つまりは自分で合理的意味を作っちゃうのです。んで
「おもしろかった」
って精神状態にしてしまうんですね。

朝鮮戦争時代にあったことらしいのですが、中国がアメリカ人捕虜にこれをやったらしいです。
米軍捕虜に強制的に反米的な文章を書かせて、その報酬にキャンディやタバコをちょこっと上げたそうです。アメリカで生まれ生活していった中で感じた価値観と現実に書いている文章は全く違うものです
それを繰り返していけばどうなるか。認知的不協和が働くんですね。
自分の頭の中を正当化しないと精神的に持たないのです。
これで捕虜の多くが共産主義者に変わっていったそうです。
これを「不十分報酬パラダイム」っていうらしいです。

ほかにもあるのです。
厳しい儀式や条件をクリアして組織に加わった方がはまるのが「誘導服従パラダイム」
組織の一員としての優越感で自分がなくなってしまうのです。忠誠心はハンパないですから組織の秘密も守りますし、犯罪に手を染めても組織を守ることまで起こすところまで行ってしまうこともあるのです。
「あなただけが特別の・・・」
なんてヤバイ言葉なのですがな。

「仮に嘘であったり犯罪であったとしても、あれだけ特別なことをして選ばれた人間としてこの組織に入ったのだから裏切られない」
嘘と気づきだしたとしても、嘘と現実の認知的不協和が働くんですね。
あと、組織内に他人をたくさん勧誘してたり、お金を払い続けてたり、大金を支払って入会してたりしてもここに陥ります。

信念に反するような行動でも、特別扱いされたり、低い報酬や、お金を支払いながら活動に参加させられたりしたほうが洗脳されやすいってことらしいですわ。
現実と嘘の仮想世界の認知的不協和、つまりは引くに引けないから仮想世界を現実としちゃうんですね。
仮想世界を現実としてしまった人は、仮想世界についていけない人に攻撃的になることもあります。

イジメやパワーハラスメント、ストーカーや虐待なんかも言い訳の仮想世界を現実にしてしまって、逃避しながらエスカレートしてしまう場合が多いです。
「仲間としてあそんでやってるのに何でチクりやがった」
「おまえに期待して目を付けてやっているから仕事をさせてやってるんだ。感謝しろ」
「教育のためにやってるんだ。おまえを愛してるからこそ心を鬼にしているんだ」
この仮想世界を本気で現実と思ってるからヤバイんですね。
「なんでわたしの本当の気持ちがわかんないんだ」
って言葉が出る状態はかなり重症です。
相手に原因を無理やり作っちゃうから、同じ過ちを何度でも繰り返しちゃいます。

相手が自分より下という仮想世界。相手に何をしても許されるという仮想世界。
この錯覚に陥らない方法は、じぶんに聞くしかないですわ。
相手に対する発言、行為は自分が受けた時に耐えれるものなのか。
耐えれられないものを相手に求めている自分の暴走を見つめる力が必要なんですね。
客観的とか、人の痛みがわかるなんて言葉で言われていることですわ。

相手に原因を押し付けて自分を守ってるつもりでも、自分の首を自分で絞めてることになっちゃうんですね。
絹の材料であるカイコ。
カイコは外の世界から自分を守るために一生懸命に繭を作ります。
繭をきれいに作り、完全に外の世界から隔離されたとたんに熱湯の中にドボーン。
人は自分を正当化して、責任を相手に押し付け、現実から逃げ続ければやっぱり熱湯にはまります。
はまるものは孤独っていう名前の熱湯ですわ。

というわたしも認知的不協和にはまっております。

わたしはタバコを吸う。
タバコを吸うと肺がんになりやすい。
わたしは禁煙した方がいい。
こっからが問題。
タバコを吸う人でも長生きの人はいる。
タバコで死ぬ人よりも交通事故で死ぬ人の方が多い。
・・・・だから?
これを屁理屈というのです。

屁理屈言うぐらいならやめたらいいんですね。
やめたくなったらやめましょう。
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